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強化のポイント

強化のポイント

労働の形態や社会の情勢というのは、時の移ろいと共にどんどんと変化していくものです。社会そのものが急激に発展したり、変化していくことを、戦後復興や高度経済成長期を体験した日本は良く分かっています。
昔の子どもと今の子どもとで遊び方や遊びに使う道具が全く異なっているように、社会は凄まじい変化で進んで行きます。どんどんと先へ進む現実に反して、法律や制度というものは一度決めたらある程度腰を落ち着けて運用していかなければならないものです。

とは言っても、どうしても時代に合わない部分が出てくることもあります。そのような時は法律やシステムの改正や緩和措置といったものが行われ、ゆっくりではありながらも着実に現実に沿った法整備ができあがっていくのです。

社会活動として、最も国民にとって身近な労働という行動や権利、義務を支える社会保障システムである労働保険も、それは例外ではありません。
時代時代に合わせて幾度も改正が行われてきた労働保険の強化のポイントをまとめることで、雇用保険と労災保険がどのように進化してきたのか、現在の仕組みがどうなっているのかを知りましょう。
法の整備というのはその時の社会情勢に従ったものですので、経済学や歴史といったものを学ぶ一助にもなり得ます。

目次

  1. 2005年の強化のポイント
  2. 2007年の強化のポイント
  3. 2009年の強化のポイント
  4. 2011年の強化のポイント
  5. 2011年には特別措置
  6. 時代ごとの強化と注意点

2005年の強化のポイント

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2005年、平成17年に、労災保険に関してある改正が行われました。それは、労災保険料の費用の徴収に関する改正です。

平たく言えば、本来であれば労働者を一人でも雇っていれば強制的に加入しなければならない労災保険に、未加入で通している使用者に対して、相応の罰則を行うというペナルティの強化を行いました。

労災保険に未加入であるということは、労働者が万が一怪我等を負った場合にも責任を取るつもりがない、と言っているのと同じことです。きちんと申告し、保険料の納付を行っている真面目な会社の不利益にもなるため、未加入事業主に対する費用徴収制度の強化と相成った訳です。

この結果、例えば、事業主が故意に労災保険に加入せず、労働災害が起きた場合は支給された労災保険の給付の全額を徴収できるように。人を雇ってから1年以上労災保険加入の手続きを行っていなかった場合は悪質とみなし、行われた給付の4割を徴収できるようになりました。
これにより、これまで一度も労働災害が起こらなかったからと保険料を未納で通していた悪質な会社に対して正当なペナルティを与えられるようになったのです。

労災保険へきちんと加入する業者が増えれば、その分不慮の事故や怪我が起こった時に労働者への保障がスムーズに進むようになります。

2007年の強化のポイント

2007年にも労働保険に関する制度の変更が行われました。ここでは、労災保険の失業等給付において、受給要件が厳しくなっています。

倒産や解雇等、止むに止まれぬ事情で職を失った者と、辞めたいから辞めたという者を同一に考えるべきでないという背景があったからです。そのため、特に自己都合での辞職は厳しく審査されるようになっています。

また、この時労働保険の保険料率に関して、一部多めに国が負担することによって、事業主と労働者にかかる負担を減らそう、という措置が取られています。

雇用保険に関しては、いわゆる非正規雇用という形態で働く人をできるだけ拾い上げるために、短時間労働の被保険者と一般の被保険者を分けるというそれまでの考えを撤廃しています。つまり、失業保険がより受けやすくなったということです。

育児休業に関しても、職場復帰後に受け取ることのできる給付の支給額をプラスしており、少子高齢化が進む中での女性の子育て、職場復帰支援の姿勢を見せています。

能力開発等に役立つ教育訓練給付では、支給額の上限を分けていたものを分かりやすく一つに纏め、更に3年以上継続して雇用保険に入っていなければ受けられない、という条件を1年まで緩和しています。

2009年の強化のポイント

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2009年にはリーマン・ショックなどもありました。経済的な大打撃によって倒産する企業や失業者も大幅に増え、完全失業率は5.5%にも達しています。この時点で過去最高の完全失業率です。
こういった経済的な面、日本国内での非正規労働者の急増、止まらない少子高齢化への対策として、幾つもの改正が行われています。

2007年に行われた、非正規雇用の労働者に対する労働保険の間口を更に広げるため、継続して1年以上雇用されるのであれば加入できるとしていた雇用保険の条件を、継続して半年以上であれば加入できると改正しています。

解雇や契約の更新がされなかったなど、再就職に時間がかかるという場合には、受けられる失業等給付等を60日分プラスして受けられるようになりました。
育児休業に関しては、2007年度から継続して支給額アップを継続しており、失業者が大量に出ることから、2009年の雇用保険料を0.4%分引き下げています
更に、失業後の再就職に成功した場合の手当も拡充しており、このことから失業者対策と再就職支援に力を入れていることが分かります。

2010年の強化のポイント

2010年になっても、リーマンショックの影響は根深く残っていました。それだけでなく、世界情勢の変動などもあってまだまだ不景気と言われていた状況です。

企業の雇用力が落ちていること、そのため就職が困難になっていること、人件費削減のために過労や精神疾患などが増えることなど様々な状況を踏まえて改正が行われています。

雇用保険の範囲を拡大し、それまで継続して半年以上雇われる人であれば加入できる、というものから、継続して雇用見込みが31日以上あれば良い、とかなりの短縮を行っています。

本来、雇用保険に未加入だった事業主の元で働いていた場合、失業等給付等を受けるに当たって最高でも過去2年までしか遡って加入期間を計算できなかったものを、追加で遡れるように特別措置が取られています。

また、2007年から継続して国家から余計に負担していた雇用保険の保険料率を本来の割合にまで戻し、労働者と事業主の双方に規定額を納付してもらい、雇用の安定化を図っています。
国家の負担が減れば、その分その他の社会保障や国益に繋がる活動などに予算を当てることができるのです。

2011年には特別措置

2011年には、日本を東日本大震災が襲いました。東北地方の大部分が壊滅的な被害を受けたことを受け、被災した事業主に対し、手続きを行えば労働保険料の免除、ないしは納付の延長といった特別措置を取っています。

時代ごとの強化と注意点

雇用保険は数年に一度の割合で頻繁に改正が行われている制度です。もちろんその変化はより安定した雇用や労働者保護のために行われているものですが、注意しなくてはならないこともあります。

制度の変更に伴って、適切な対処方法が変わるということです。例えば、短時間労働者への雇用保険の適用要件で考えると分かりやすいです。

雇用見込みが1年以上あれば雇用保険に入れなければならない、という要件から、雇用見込みが半年以上あれば加入しなければならない、に改正されると、8か月雇っている人がいる事業主はすぐに雇用保険の加入手続きをしなくてはいけません。

事業主も労働者も、制度が変化する際は強化のポイントをしっかりと理解し対応する必要があるのです。