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一元適用事業の場合

一元適用事業の場合

社会保険の分類として、全部で5種類の保険があるのをご存知でしょうか。5つの社会保険の中には更に分類があり、いわゆる労働者に対して強制加入を義務付けている保険として、労働保険というものがあります。

労働保険は雇用保険労災保険の2つを纏めて呼称したものであり、労働者のみが加入できるという点もあって、他の社会保険とは多少扱いが異なっています

政府が行っている社会保障としての保険であっても、保険は保険であり、加入している以上は収入に応じた金額の保険料を支払わなければなりません。

この労働保険の保険料の徴収に関しては、法律で厳格に決められており、その中でも雇用保険と労災保険の保険料を纏めて一括で徴収する、という考え方のことを一元適用事業と呼ぶのです。

一元適用事業と二元適用事業では、労働保険の加入に際する手続きや届け出の方法が変わってくるため、特にこれから人を雇おうと考えている経営者、個人事業主の方に是非知っておいていただきたい知識です。

税金の納付と保険料の徴収は、知らなかったではな済まされないペナルティにつながる場合もあります。一元適用事業とはつまり何なのか、何が違うのか、自分の事業は当てはまるのかを確認しましょう。

目次

  1. 一元適用事業とは?
  2. 保険料徴収の一括管理
  3. 手続きとして何が違うのか
  4. 加入手続きは確実に

一元適用事業とは?

保険に加入し、保険料を支払って何かあった際には保障を受ける。ごくごく一般的な流れですが、そもそもの話、保険に加入しますよ、という意思表示がないままに保険に加入することはできません。

労働保険の場合、要件を満たしていれば原則的に強制加入であり、「保険に加入する、加入したという届け出はないものの、法的に見れば保険には既に加入している」という奇妙な状態になってしまうことがあります。

当然のことながら、保険に加入しなければならないのにその届出を行わないのは良いことではありません。
通常、労働保険に加入した日から10日以内に、その旨を証明する保険関係成立届というものを労働基準監督署か、労働局か、日本銀行に提出しなければならないのです。

労働保険には雇用保険と労災保険があり、実際の管理や保険の給付、事務手続きなどを行っている組織は全く違います。同じような保険であるにも関わらず、ほぼ同時に2つの保険の加入手続きをしなければならないのは時間も労力もかかります。
そこで、雇用保険と労災保険の保険料徴収に関して、一つの事業所が二つの保険に加入するのではなく、纏めて一つの保険に加入したかのように扱うことのできる仕組みを作ったのです。

これが労働保険の一元管理を認められている事業、一元適用事業という訳です。実際には、一元適用事業を作るというよりも、二元適用事業という特殊なケースにも対応できるように、二元適用事業とそれ以外を担当できる一元適用事業を作った、と考えて貰えば分かりやすくなります。
非常に平たく言うと、一元適用事業というのは、「自治体等が行う事業や、建設関係、農林水産業、特定の港での港湾輸送事業以外の全ての事業」を包括的に含んでいます。

保険料徴収の一括管理

多くの企業にとって、労働保険料というのは、毎月6月頃に通知が届き、概算での保険料を計算して納付を行い、一年経ったら数字を合わせるために精算処理を行い、通知に従って概算保険料の計算を行い、という流れで行われるものです。

この時、労働保険の保険料に関しては、雇用保険のものと労災保険のものを纏めて納付できるようになっています。これができるのは、上で紹介した一元適用事業だからに他なりません。

大きな企業であっても、小さな事業所であっても、細かな計算と納付が必要になる保険料の扱いは大変なものです。社会保険は一定の要件を満たしている以上必ず加入しなければならないものなので、支払いや管理を避けることはできません。

社会保険の内、雇用保険と労災保険に関して必要な届け出や管理、保険料の徴収を一元的に管理できるようになれば、それだけで負担は軽減できるのです。

一元適用事業は、公的な事業等のみを含む二元適用事業に該当しない事業ですので、一般的な事業を行っている会社や事業所であれば、必要な手続きを減らし、できるだけ楽に保険料の納付や申告を行うことができるという訳です。

手続きとして何が違うのか

では、一元適用事業の場合はどのような手続きが必要になるのか、二元適用事業との違いは何かを説明します。

一元適用事業と二元適用事業の違いは、自治体などが関係しているかどうかでもありますが、簡単に言えば雇用保険と労災保険を分けて考えておいた方が都合の良い事業がある、という理由が大きいです。

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例えば、外出と言えば営業職の外回りであり、ほとんどの職員は入社から退職までほとんど労災保険を使わないという一般企業。

逆に、毎回使用する人間が変わり、保険の加入手続き自体も多く、そして性質上どうしても怪我や事故の多い建設業では、労災保険の手続きをそれだけ多く行うことになります。

一元的に管理していると、一つの保険として扱っているものの内、片方だけを良く使うことになってしまいます。それよりは、最初から雇用保険と労災保険を分けておいた方が実際の管理や手続きが楽になる。これが両者の違いです。

一元適用事業の場合は、前述の保険関係成立届を提出する際、手続きが簡略化されています。

労働保険事務組合に任せてしまうも良し、自身で所轄の労働局か労働基準監督署、同時に概算保険料の納付も行う場合は、日本銀行を通じて手続きが可能です。

ここで提出した書類の控えを、本来なら雇用保険を管理しているハローワークに持って行けば、「雇用保険にも労災保険にも加入している」とみなされ、労働保険の加入事務所であるという手続きをスムーズに終えられます。

形としては、保険関係成立届を一枚提出すれば、労災保険に加入した証明になり、その控えを使うことで雇用保険にも加入したというていで手続きが完了するという訳です。

加入手続きは確実に

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労働保険では、おかしなことに法的には保険に加入しているという扱いになるものの、実務的に必要な各種の届け出を行っていない、という状況があり得ます。

ついうっかり届け出を忘れてしまったという会社や事業主もいれば、半ば故意に加入手続きを行っていないという悪徳な者も存在します。

保険関係成立届が出されていない以上、保険の管理をしているハローワークや労働基準監督署はその実態を掴めないので、保険料の徴収ができないからです。

では、もし労働保険に加入しなければならなくなった、二元適用事業以外の一元適用事業を行っている会社が加入の手続きを敢えて行わないままでいるとどのようなことが起こるのでしょうか。

例えば、仕事中に社員が怪我をしてしまい、労災保険を使ってくれと言われたものの、それを拒否したとしましょう。

この時、怪我をした社員の立場からすると、労災保険はそもそも強制加入であり、入社と同時に加入しているものですので、会社が認めようと認めまいと、労災認定をして貰えるように手続きをすることができます。

ここ時点で、労基署に加入手続きをしていなかったことがバレます。すると、最初に人を雇った日まで遡り、これまで保険料の滞納をしていた、というていで保険料の徴収が行われます。

手続きをしていなかった期間が長ければ長い程追徴金も莫大です。加入の手続きは確実に行いましょう。