労働保険.JP
法人支援士業連合会
  <    <  傷病(補償)給付

傷病(補償)給付

傷病(補償)給付

労災保険では、業務中、ないし通勤途中の労働災害における被保険者の怪我や病気、障がい、死亡といった事態に対して、適切な保障を行うことを目的としています。

世の中には無数の職業があり、滅多に怪我をすることのない仕事もあれば、いつ重大な怪我や事故が起こってもおかしくない危険性を伴った仕事もあります。
全ての職業で安全が保障されている訳ではなく、また、比較的怪我等の心配がない職業であっても、例えば自動車で営業周りをしている際、後ろから追突されるといった自身ではどうしようもない事故だって起こり得るのです。
業務災害や通勤災害によって怪我を負い、不利益を被るのはあくまで労働者であり被保険者です。使用者と比較すれば明確に弱い立場にある労働者の怪我や病気、休業に関する保障を行う制度がなければ、多くの企業は簡単に怪我をした労働者を放り出してしまうでしょう。

こういったことにならないように、できるだけ怪我等による不利益を軽減できるように用意されている各種給付の中に、傷病(補償)給付というものがあります。
一口に怪我を言っても、数日ほどで完治するものもあれば、数ヶ月の入院や通院を要するもの、数年間規模での療養や、もしくは一生完治は難しいという重度の傷病もあります。全ての怪我を一括りにして手当を行うのでは、より怪我や病気が重い人の方が得られる保障が少なくなってしまいます。
そこで、怪我等を負い、療養し始めてから1年と6か月以上経過してもまだ完治していない、もしくな相応の障がい等が残っているという方に限り、傷病の等級に応じた金銭的な保険給付が受けられるようになっているのです。

目次

  1. 給付の条件について
  2. 傷病等級
  3. 給付を受けるための手続き
  4. 併用できる各種給付について
  5. >傷病(補償)給付を利用する際の注意点

給付の条件について

05c

傷病(補償)給付を受給するために必要な条件というのは、簡単に言えば治療を開始してから1年6か月以上経っても体に残っているような障がいがある、継続して治療中であるという場合です。

勘違いしやすい条件として、あくまで労働災害によって受けた怪我等がまだ完治していない、というのがあります。

怪我の療養を始めて1年6か月以上経過しているものの、元となった怪我そのものはもう完治しており、その代わり生活に差し支えのある障がいが残ってしまった、という場合、傷病(補償)給付ではなく障害(補償)給付の適用範囲となってしまうのです。
あくまで病気や怪我の治療中である人に対して給付される手当となっています。

そして、実際にどれくらいの金額の給付を受けられるのかを決めるのは、傷病等級です。傷病等級には第1級から第3級まであり、それぞれの等級に応じて受給できる傷病(補償)給付の金額は変化します。

傷病等級

05b

傷病等級についてより具体的に説明しましょう。傷病によって起きている不利益が重ければ重い程第1級として判断され、比較的軽めになっていけば第3級と評価されます。

第1級の認定を受ける条件としては、神経や精神に問題が起きており、常時介護が必要な場合。内蔵等に問題があり介護が必要な場合、両眼の失明手足の内、肘や膝の関節以上を失っている場合。もしくは、以上の条件と同等の障がいがあることが条件となっています。
傷病等級の第1級がいかに困難な状況かお分かりいただけたでしょう。第2級に関しては若干ハードルが下がり、要所要所で介護が必要な場合視力が0.02を下回る場合手先や足先などの欠損が条件となります。
最後の第3級では、障がいや内臓機能の低下等があって通常通り働くことができない場合片眼を失明しており、なおかつ残っている方の目も視力が0.06以下である場合両手指を全て失っている場合などが条件です。

第1級から第3級まで、認定を受けている間は1年につき給付基礎日額の313日分、277日分、245日分のいずれかを傷病(補償)給付として受け取ることができるようになっています。
傷病の完治に時間がかかっていたとしても、毎年計算されるので、一度給付できると決まり、規定の金額を受け取ればもうそこで終わりという訳ではありません。これらの介護や治療には少なくない費用が必要になるため、特にご家族にとっては頼もしい給付となるでしょう。

給付を受けるための手続き

傷病(補償)給付を受けるためには、受給するための手続きをしなくてはいけません。
原則としては、傷病(補償)給付は所轄の労働基準監督署が権利を持っているので特別何かをしなくてはならないというものではないのですが、治療期間が1年と6か月以上過ぎても完治しない場合は、その後1か月以内に規定の書類を作って提出する必要があります。

傷病の状態等に関する届という書類です。面倒な書類ではなく、療養中であること、どのような状態なのかといったことを記す書類となっています。
傷病(補償)給付の受け取りに関しては、偶数月ごとに振込や支払いの通知書が来るので、それを受け取るだけとなっています。怪我の程度などは医療機関が判断するものですし、療養中かどうかもやはり医療機関が判ずるものなので、何枚もの証明書を求めて歩き回ることなく給付を受けられます。
療養中に更に障害等級が重くなってしまった、軽くなったという場合は、給付の産出額が自動で再計算され、同様に受給できるようになるので、やはり大きな手続き等はしなくても良いのです。

併用できる各種給付について

傷病(補償)給付は、給付という名前となっていますが、実質的には年金を受け取っているという状態となっています。とはいえ、傷病給付と呼ぶか傷病年金と呼ぶかで保障の内容が変わることは特にないので、気にせずとも大丈夫です。

そんな傷病(補償)給付の受給が決まった場合、他に2種類併用できる給付が存在します。傷病特別支給金という一時金と、傷病特別年金というボーナス査定の給付です。
傷病特別支給金というのは、特別に貰える一時金のことです。傷病(補償)給付の受給が決まった者であれば受給できるものであり、傷病等級に応じて114万円から100万円までの手当を受けられます。
傷病特別支給金を受給するためには所定の手続きが必要なのですが、1年6か月経過後の傷病(補償)給付の受給が決まった時点で、自動的に特別支給金も申請が行われたと判断され、支給されます。

傷病特別年金に関しては、給付基礎日額ではなく、貰っていたボーナスの金額に応じて給付額の計算がされます。支給されるために手続きが必要です。

傷病(補償)給付を利用する際の注意点

傷病(補償)給付は複雑な給付です。
その他の労災保険の給付と柔軟に組み合わせたり、切り替えたりする必要があるからです。

傷病(補償)給付を受けるまで休業補償給付を受けていた場合ですが、この場合は両方の給付を同時に受けることはできません。
療養の開始から1年6か月以上経過しているものの、傷病等級認定はできないという時は休業補償給付を受けることになりますが、継続して給付を受けるためには年に一度傷病の状態等に関する報告書、というものを提出する必要があります。
傷病等級の第1級第2級で傷病(補償)給付を受けている場合、介護されているのであれば介護補償給付を同時に受けられます

また、医学的に治療をしてもこれ以上状態の改善ができないという場合も治癒したと判断されるので、傷病(補償)給付ではなく療養補償給付の対象となります。
状態に応じて手続きの有無も給付も変わるのです。