労働保険.JP
法人支援士業連合会
  <    <  葬祭料(葬祭給付)

葬祭料(葬祭給付)

葬祭料(葬祭給付)

会社の命令に従って業務に従事している最中に、不幸にも労働者が亡くなってしまう。こういったことは現実に起こっています。

特に、運輸業と建設業に関しては業務の性質上肉体労働としての役割が多く、どうしても怪我や事故の発生率はその他の業界に比べて高くなってしまいます。
一軒家の建築でも、足を滑らせ頭から落ちれば助からないかもしれません。大量の荷物を積んだトラックを長距離輸送のために運転していて、重大な交通事故を起こしてしまう可能性もあります。
荷物の運搬時に重たい荷物の下敷きにされたり、とにかく生きている以上いつ何時何が起こるか分からないのが人生なのです。

労災保険は、業務中に起きた業務災害、通勤中に起きた通勤災害によって生じた不利益を解消する手助けを行う保険です。
社会のセーフティネットとして、社会保障システムとして、労災保険と雇用保険は特に労働者の保護を行うことを目的としています。
労災保険で保険給付が行われるのは、労災事故が原因となり、労災認定されている場合の怪我、病気、障がい、そして死亡に対する保障なのです。

被保険者である労働者が亡くなってしまった場合の保障には遺族年金といったものがありますが、それ以外にも給付が用意されています。

それが、葬祭料(葬祭給付)です。

目次

  1. 故人を送り出すための給付
  2. 葬祭料(葬祭給付)として受け取れる金額
  3. 受給するに当たって必要な請求の流れ
  4. 時効について
  5. 遺族年金との併用

故人を送り出すための給付

07b

冠婚葬祭というのは、しきたりもあり、宗教の違いもあり、下世話な話にはなってしまいますがお金が掛かります。
会場を借りるのもタダではありませんし、家族がいれば、一家の大黒柱を失ったばかりの遺族が喪主として葬祭の一切を取り仕切らなければならないのです。
弔問客をもてなす準備も必要になりますし、現実的に考えて故人と最後に顔合わせをする機会となってしまいますので、できればできるだけきちんと弔ってあげたいと考えるのが人情というものです。
ですが、労災保険に加入していた労働者が故人になってしまったということは、今後継続して入るはずだった収入が途絶えるということでもあります。幼い子どもを抱えた専業主婦であれば、その生活は大変です。

葬祭にそれなりの費用がかかることは分かっているのだから、その負担を一部労災保険で賄おうというのが、葬祭料(葬祭給付)の役割なのです。
何かにつけてお金の話になってしまいますが、お金はいくらあっても困るものではありませんし、何より故人を盛大に送り出す手助けになれば、精神的な負担も少しは軽減できるでしょう。

ただ、そうは言っても葬祭料(葬祭給付)にも給付に関する条件がありますので、簡単に説明しておきます。

・相応しい遺族がいる場合

配偶者や子どもなど、葬祭を取り仕切るに値する人物が喪主を務める場合、文句なしに葬祭料(葬祭給付)の請求を行うことができます。葬祭料(葬祭給付)の費用は労災保険の保険料から出ているものであり、元を正せば故人が支払っていた保険料でもあります。
赤の他人が喪主を務め、葬祭料(葬祭給付)をふんだくるといった悪質な事件が起こらないよう、制限がかかるのはある種当然のことです。
信じられないような話かもしれませんが、生前一度も会ったことのない遠い親戚がおこぼれを期待して喪主の名乗りを上げることもあり得なくはないのです。

・そうでない場合

07c

独身だったなど、葬祭を取り仕切りに値する関係者がいなかった場合、故人が働いていた会社が社葬として葬祭を行う場合もあります
この場合、会社に対して葬祭料(葬祭給付)の支給が行われるのです。どうしてと感じるかもしれませんが、会社でも葬祭料(葬祭給付)ができるからこそ、感情的な部分は置いておいて、金銭的な負担も少なく葬祭を行うことができるのです。

葬祭料(葬祭給付)として受け取れる金額

葬祭料(葬祭給付)として保険給付の申請を行った場合に受給できる金額というのは、計算式がしっかりと決まっています。

315000円の給付に加え、故人の給付基礎日額、どれくらいの給与を会社から貰っていたのかで決まる金額、の30日分

この計算と、給付基礎日額の60日分とを比較し、より受給額が大きくなる方の金額を葬祭料(葬祭給付)として受け取ることが可能です。

計算式だけでは理解しづらいと思いますので、実際に計算をしてみましょう。
故人は日当、いわゆる日給月給制で仕事をしており、1日当たり1万円の給与を貰っていたとします。

この時、

①315000+(1万円×30日)=615000円

②1万円×60日=600000

以上のように計算を行い、①と②を比較すると①の方が金額が多いので、受給できる葬祭料(葬祭給付)は615000ということになる訳です。

受給するに当たって必要な請求の流れ

葬祭料(葬祭給付)の給付を受けるためには、受給権者が自ら請求手続きを行う必要があります
医療機関からは、故人が本当が亡くなったのだと証明するための死亡診断書を、役所からは死亡届記載事項証明書を発行して貰います。
その上で、葬祭料の請求書というものを書かなくてはいけません。ここに記載する内容は、受給権者の情報や故人との関係、会社の署名を貰って労災であったことの証明をして貰うこと、故人の情報に労災の発生状況などです。
これらの書類を揃えた後、事業所の所轄の労働基準監督署に必要書類と請求書を合わせて提出します。

書類を見て労働基準監督署が審査を行い、葬祭料(葬祭給付)の給付が受けられるかどうかが変わります。
失意の中手続きを進めることになってしまうので、万が一を不安に思うのであれば、事前に必要書類を集め、いつでもすぐに書類を用意できるようメモを作り、金庫等に保管しておくと良いでしょう

葬祭料(葬祭給付)の請求手続きに関しては、社会保険の給付ならどれも大抵そうですが、即日で受給できるというものではありません。葬祭料(葬祭給付)は比較的緩い部分のある給付ですが、審査がある分だけの時間は掛かりますので、考えたくないことだからこそ前もってこういう流れが必要になるのだと理解しておく必要があります
葬祭料(葬祭給付)に関しては、実際の葬祭に必要だった金額を証明する必要はないため、一度きちんと請求の手続きを行えば面倒なことは何もありません

時効について

労災保険の給付に関しては、その多くに時効という考えがあります。規定の時効を過ぎた時点で正式な保険給付の手続きを行っても給付は受けられなくなってしまう、ということは知っておいた方が良いでしょう。
葬祭料(葬祭給付)の場合、時効は2年と設定されています。被保険者が亡くなった日から2年経過後に請求権が消滅します

遺族年金との併用

労災保険の遺族に対しては、保険の支払期間や収入などによって、遺族年金といった保障を受け取れるようになっています。

葬祭料(葬祭給付)の請求手続きに必要な資料と一部重複する、というよりも、遺族年金の手続きを行っていれば一部必要書類が免除されるので、手続きは一度に進めた方が楽です。
遺族年金も決して少なくない金額の給付を受けられる保険給付ですが、だからと言って葬祭料(葬祭給付)を利用しないという選択を敢えて選ぶ必要はありません。それまで真面目に支払ってきた各種保険料を前倒しで受け取ると考え、今後の生活に活かしていくのが故人への手向けにもなるでしょう。
何もないとは思いつつ、何かあった時は頼れるようにするのが賢明です。