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二次健康診断等給付

二次健康診断等給付

労災保険は、各種の保障を準備している応用性の高い社会保険です。
その保険給付に関しても非常に手厚いものが用意されており、万が一労働者の身に何かあった際、大きな協力をしてくれる保険でもあります。

現代で若い世代から老いた世代にまで強い影響を与える仕事絡みの問題と言えば、ストレスです。
物理的には高度に発展している現代社会では、価値観の急速な多様化や、それでも和を尊ぶ日本人の気質、受験戦争、就職戦争といった形で常に多大なストレスに晒されてしまう状況にあります。
人間は効率のみを求めて動き続けることはできず、思っている以上に精神的な部分にも影響をされているのです。

もちろん職種や職場、社内の人間関係やその人の性格や体質、頑丈さなどによっても違いはありますが、度重なる勤務による精神的な疲労や重圧、過労の問題が大きく取り沙汰されるようになっています。

怪我や病気、障がいという比較的見た目にも分かりやすいトラブルに対して保障を行ってきた労災保険は、目に見えにくい部分にも手を差し伸べる必要を迫られています。
東洋医学では未病と言われたりしますが、精神的なストレスや過労といった原因から、労働者が過労死したり重度の病を患ってしまうケースは少なくありません。

二次健康診断等給付は、こうしたぱっと見では分からない部分を健康診断で数値化し、医療機関による適切な対処の指導を先回りしてできるようにするための保障なのです。

目次

  1. 二次健康診断とは
  2. 近年のストレス社会に対応
  3. 具体的な給付の内容
  4. 受給に必要な手続き
  5. 諸手続きに関する注意点

二次健康診断とは

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労働者の権利というのは、原則的に各種の法律によって制定され、保護されています。そういった労働者の権利の一つ、言い換えれば使用者の義務として労働安全衛生法では定期的な健康診断を行うことが決められています
健康診断というのは、その時点で事業に在籍している労働者に対して、定期的に健康のチェックを行うための行為です。通常であれば、やれ体重が増減した、肝臓の値が芳しくないので酒を控えろと言われてしまった、という笑い話で終わるものですが、検査である以上、重大な問題が発見されることもあります。

定期的に職場で行われる健康診断のことを、一次健康診断と呼びます。今回説明する二次健康診断等給付は、一次健康診断の結果、過労死してもおかしくないと診断された人が受ける、二回目の健康診断です。
具体的には、血圧血中の脂肪量血糖値肥満度の4種類の項目で、いわゆる健康体ではないと判断される基準値を上回った数値が出た場合に二次健康診断を行うように求められます。
これら4つの数値というのは、生活習慣病の発症と密接に関係しているものであり、運が悪ければ働いている最中にある日突然帰らない人になる、くたくたに疲れてベッドに潜り込み、次の日の朝には冷たくなっている、といった大きな問題にも繋がっています。

一次健康診断を飛ばしていきなり二次健康診断等給付を受給できるということはなく、あくまで一次健康診断を受けた上で結果に問題がありそうだ、問題が起こっているという場合にのみ利用できる給付です。

近年のストレス社会に対応

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近年のストレス社会において、労働者の精神的なケアは一つの課題となりつつあります。蔓延するうつ病や過労死は、会社としてもできるかぎり手を尽くして避けたいものです。
仕事の忙しさや職場環境の劣悪さを理由にうつ病等の精神疾患になってしまった社員が、労災認定を受けるといった事例が出ていますし、特に会社であれば地域貢献としても、せっかく仕事の戦力として使える労働者に気持よく働いてもらうためにも、二次健康診断等給付は大切なのです。
聴診器を胸に当て、簡単な診断を行うだけでは分からないことを判明させるための給付です。

具体的な給付の内容

二次健康診断等給付についての具体的な給付の内容を説明します。

まず、一次健康診断によって危険な兆候が出ていると判断され診察を除いた別の診察を受けることになります。脳血管や心臓の状態を詳細に把握し、血圧や血糖値など実際に数値として現れている問題が、どの程度進んでいるのかをチェックします。
極端な話、同じ病気になった人であっても、体力や体質等の条件によってどの程度危険な状態にあるのかは変わってしまうのです。

この審査結果を受けて、それで終わりという訳ではありません。結果は結果ですが、それを理解できるように説明してくれる専門家と、どのように数値的に危険な状態から回復するかという指導を受けなくては健康体には戻れないからです。
これを特定保健指導と呼び、医師や保健師といった健康管理のプロからどのような生活改善を目指すべきなのかを語られます。

例えば、普段の食生活や好きな食べ物、毎日の飲酒量、睡眠時間の長さや自ら疲労や問題を感じるといったことを、データに基づいた保健指導を早期に受けられればその分回復も早まります。
あらゆる病気において、予兆を捉えて対策を行い、発症させないことが最も重要なのです。特に過労等の兆候が見受けられる場合には、指導を担当する医師から会社の方へ職場環境の改善についてなどの相談が行われることもあります。
ただし、診断の結果もう既に脳や血管の病気などが進行している場合、この保健指導を受けることはできません。通常の労災保険の給付のように、病気の治療を行っていくことになります。

受給に必要な手続き

二次健康診断等給付を受給するために必要なのは、一次健康診断の結果です。給付を受給するに当たって、一次健康診断の受診日から3か月以内に申請書を用意し、二次健康診断を受ける必要があります。
一次健康診断の結果を正式な証明書として受け取り、二次健康診断の給付を求めるための申請書を作ったら、治療を受ける医療機関の窓口に行くだけです。

ただ、特定保健指導を受けることができるのは所轄の労働局の局長から指定されている一部の医師、保健師のみとなっています。自宅に近いからと適当なところに頼む訳にはいきませんので、覚えておきましょう。

諸手続きに関する注意点

二次健康診断等給付を受けるための手続きを行うに当たって、知っておかなければならないルールを確認します。

二次健康診断等給付を受けるためには、一次健康診断が行われた日から3か月が経つ前に上で紹介した受給ののための手続きをしなくてはいきません。
ただし、実務としては働いている事業主に掛け合い、申請書を一枚作って労働局長から指定されている医療機関に提出すれば、病院経由で労働基準監督署に書類が送られます。
決して難しい手続きが必要な訳ではないのですが、一次健康診断の受診日から3か月というのは思っているよりも時間が経つのが早く、また健康診断の結果を受け取ってから3か月と思い違いをしていることも多いのです。早めに手続きをすれば不安にならずに済みます。

そして、これらの診断や特定保健指導は現物支給という形で給付が行われるものであり、労働者側は一切の金銭的な負担をすることなく指導を受けられます
必要な費用は労災保険から医療機関に対して支払われますし、労災保険では医療保険のように保険証を発行することもないので、時間と気持ちにできるだけ余裕を持って受給するのがベターです。

また、一人親方などの特別加入者の場合二次健康診断等給付が受けられません。何故ならば法律上労災保険への加入は特例であり、労働者という定義付けができないからです。